WEATHER REPORT(ウェザーリポート)

1971年Joe Zawinul(Key)、Wayne Shorter(Sax)というMilesの門下生とMiroslav Vitous(b)の3人をリーダーに結成された70、80年代を代表する最高のジャズコンボ。Zawinul〜Shorterを核に、ベース、ドラムス、パーカッションは時に応じて顔ぶれが入れ替わっていった。bはVitousからAlphonso Johnson(74年2月〜)、Jaco Pastorius(76年1月〜)、Victor Bailey(82年〜)。ドラムスはAlphonze Mouzon始まりEric Gravatt、Leon Chancler、Greg Erico、78年からPeter Erskin、82年からOmar Hakimと続いた。その他にも様々なゲストミュージシャンを起用しWRサウンドの確立を目指した。86年3月、全部で16枚の作品を残してこの名コンボはそのグループの歴史を閉じた。


「WEATHER REPORT」 1971年

WEATHER REPORT

デビュー作。ZawinulとShorterの二人がマイルスから受け継いだものと、それぞれの持つオリジナリティを融合させかつてない斬新なサウンドを作り出した。空間を最大限に活かしたスペイシーな音作りが本作の特徴。(1)での摩訶不思議な感覚、(2)では激しいリズムを追求する。全体的にはZawinulのシンセが浮遊感を産み出し、Shorterのソプラノがそこに色をつけるような感じだ。(4)、(5)ではメロウな表現も見せている。何度聴いても不思議で且つ新鮮な感覚に襲われるアルバム。当時は本当に衝撃的だったはず。決してポップではなく、むしろハードな内容。ジャケットの模様が何なのか未だに解らない。

「LIVE IN TOKYO」 1972年

LIVE IN TOKYO

デビュー翌年に早速来日した時のステージの模様を生々しく収めたドキュメント。デビュー作のナンバーと次のスタジオアルバムに収録されるナンバーで構成されている。CD2枚組み約90分というボリュームに圧倒される。4つのメドレー+デビュー作の冒頭に収められていた ”ORANGE LADY”を収録。少し冗長な部分も感じられるが、逆にそれがライブの臨場感を伝えているような気もする。初期のWRがどのようなステージを行っていたのか知りたい方は是非聴いてみて欲しい。

「I SING THE BODY ELECTRIC」 1972年

I SING THE BODY ELECTRIC

LPでいうA面をスタジオ音源、B面は東京でのステージを収めた2ndアルバム(実質は3rd)ライブ盤ではかなり長尺の演奏になっていたがスタジオ録音バージョンは比較的コンパクトにまとめている。サウンドのイメージはデビュー作を引き継いでいるが、曲によりAndrew White(Coltrane研究家としても有名)やHubert Laws、Ralph Townerといった意外なゲストが参加しているのが面白い。(2)でTownerのギターがフューチャーされる。アルバムとしてはやや散漫な印象を受ける。

「SWEETNIGHTER」 1973年

SWEETNIGHTER

これまでとはやや違ったアプローチが聴ける。特に(1)”BOOGIE WOOGIE WALTZ”ではかなり粘りのあるファンキーなリズムを導入。(2)”MANOLETE”はShorterらしいちょっとズレた曲。さらに(4)”125TH STREET CONGRESS”もファンクリズムが聴けるカッコイイ曲。Vitousにこれだけ黒いリズムが産み出せるとは意外だった。Shorter作(6)も急速調のリズミックなファンクナンバー。しかしShorterのソプラノ一吹きで雰囲気が一変してしまうから面白い。ヘヴィなWR流ファンクを聴きたければこのアルバムだ。

「MYSTERIOUS TRAVELLER」 1974年

MYSTERIOUS TRAVELLER

ここから曲によりベースでAlphonso Johnsonが参加。輸入盤なので詳しいデータが記載されていないが(1)はライブのようだ。リズミックな佳曲。(2)”AMERICAN TANGO”はゆったりとしたメロディアスな名曲だ。ただしShorterはソプラノでアクセントをつける程度で出番は少ない。むしろファンクな(3)でテナーを十分聴かせてくれる。タイトル曲はその名の通りミステリアス。後にライブ盤にも収録される(6)は名曲名演。デビュー盤からここまでが第一期といわれ、この後スタイルを変えていくことになる。

「TALE SPINNIN'」 1975年

TALE SPINNIN'

前作までのミステリアスなサウンドから一気にポップなサウンドに転向した一作で個人的には最高傑作だと考えている。時は75年、フュージョンサウンドがもっとも華やかなりし時代だ。(1)を聴けば良く分かる。暗い空から一気に眩しい光が差すような、そんな感覚に襲われる爽快なナンバー。さらにShorter作の(2)”LUSITANOS”が凄い。広大な宇宙を連想させるスペイシーな曲で、Shorterもテナーで珍しく咆哮している。超名曲だ。(3)はShorterとZawinulお互いの要素がうまく溶け合った壮大な曲。他の曲も実によい。名盤。ドラムスでNduguが参加した唯一の作品。

「BLACK MARKET」 1976年

BLACK MARKET

前作でのポップ路線を更に推進する。このアルバムからいよいよJacoが参加し黄金時代の幕開けを飾る一枚となった。南の楽園を彷彿とさせるような熱気に満ちたタイトルチューン(1)がなんといっても聴きものだ。早くももJacoらしいベースサウンドが鳴り響く。Shorterのソロも熱くカッコイイ。他にも”CANON BALL””GIBRALTAR””ELEGANT PEOPLE(これもかっこいい)”などの重要な名曲を数多く含む。アルバム全体のまとまりも素晴らしい大傑作。

「HEAVY WEATHER」 1977年

HEAVY WEATHER

一般的には最高傑作と認定されているアルバム。もちろん内容も最高だ。Weather Report最大のヒットアルバムであり(1)”BIRDLAND”もWeather最高のヒット曲である。この曲の素晴らしさを文章で表現するのは至難の業だ。一度聴いてみて欲しい。ポップでわかり易いメロディながらも実はかなり複雑な構成の曲である。さらに(2)”お前のしるし”は美しいバラードでこれまた超名曲。この2曲が聴けるだけでも十分だが、さらにJacoのベースが堪能できる"TEEN TOWN”、Shorterらしい”ハーレクイン”など一気に聴ける。WR入門者はまずこれから。

「MR.GONE」 1978年

MR.GONE

前3作でのポップで明るいウェザーから一転、再びミステリアスなウェザーが帰ってきたと感じさせる作品。ポップなサウンドの中に、ちょっと妖しい雰囲気が含まれているというか、ただ単に明るいだけではない、と思わせる何かがある。(3)”YOUNG AND FINE”が名曲だ。さらにShorterの”PINOCCHIO”が再演されている。全体的にはShorterの出番が少ないこと、前の3枚に比べると傑出した部分がなく、ややまとまりに欠けることが不満。Tony Williamsがゲスト参加しているが、ほとんどわからない位に影は薄い。

「8:30」 1979年

8:30

70年代後半の絶頂期を総括する2枚組ライブ。(1)”BLACK MARKET”から名曲名演のオンパレードだ。Weather Reportの魅力に手取り早く触れたい方はこのアルバムから聴いてみるのも手だろう。2枚目の後半はスタジオ録音の新曲。A面(6)"In A Silent Way"はMilesの同名アルバムに収録されていた名曲だ。

「NIGHT PASSAGE」 1980年

NIGHT PASSAGE

80年代に入り新たなスタートを切ったWRの名盤。聴きものは(1)のタイトル曲。ちょっとルーズな感じのビートが心地よい。(2)”DREAM CLOCK”は初期を思わせるスローナンバーでShorterのテナーがいい味を出す。(3)はライブ音源である。そしてWRがはじめて他人の曲をカバーしている。なんとElingtonの”ROCKIN' IN RHYTHM”だ。これが何ともWeather色に染まっているというか、Weatherのオリジナルだといってもわからにくらいに、はまっている。

「WEATHER REPORT」 1982年

WEATHER REPORT

二枚目のセルフタイトル・アルバム。意欲が感じられる。Zawinul、Shorter、Jaco、Peterの黄金メンバーでは最後のアルバム。 4人で出来ることはし尽くしたという感じで、もうこれ以上ないという完成度を誇る。(1)”VOLCANO FOR HIRE”がポップだが素晴らしいグルーブを備えた曲だ。特にうねりまくるジャコが凄い。(2)はShorterらしいし(3)のメドレーも濃い。アルバムに余裕と、自信が漲っている感じだ。

「PROCESSION」 1983年

PROCESSION

Victor Bailey、Omar Hakimという若手の強力リズムセクションを加えた新生Weatherの第一弾。メンバーチェンジと共に注目したいのが以前、名曲「バードランド」をカヴァーしたManhattan Transferとの共演だ。タイトル曲(1)はクールなWRだ。(2)ではShorterのソプラノの音が美しい。(3)では若手二人が健闘し強力なグルーブを作り出している。マントラとの共演は(4)でトロピカルな仕上がり。

「DOMINO THEORY」 1984年

DOMINO THEORY

(1)にいきなりCarl Andersonをフューチャーしたボーカルナンバーを持ってきている点に試行錯誤が感じられる。(2)”Db WALTZ”ではWRらしさが戻るが。全体的に健闘しているものの、かつてのような魔力を産み出す力は無くなっているようだ。他には(7)のタイトル曲でBaileyのベースを堪能できる。

「SPORTIN' LIFE」 1985年

SPORTIN' LIFE

いよいよWeatherも最終章に突入してしまったことを痛感させられるアルバム。冒頭からコーラスを導入したトロピカルな(ノー天気な?)ポップナンバーから始まる。聴きやすくいい曲だがWeatherらしさはない。聴きどころも減ってきているが、(4)”COFIANS”はMino Cineluが Voをとるちょっと切ない佳曲。Shorterのソプラノソロがいい味を出している。他にはM.Gayeの名曲”WHAT'S GOIN' ON”をカバーするなど、一枚のポップフュージョンとしてのクォリテイは高いが、Weatherのアルバムとしてのテンションの低さは如何ともし難い。

「THIS IS THIS」 1986年

THIS IS THIS

ラストアルバム。別々の道を歩くことになるZawinulとShorterの今後を暗示するような作品。後にZawinulが結成するWeather Update→Zawinul Sindicateにこのアルバムの音楽性が引き継がれているようだ。Shorterはわずか2曲しか参加しておらず、Shorterファンの私にとって、このアルバムをWeather Reportのアルバムと認めるのはちょっと辛いものがある。ただしアルバムのクオリティはやはり高い。


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